最近、イタリアにご縁があって、いろんな記事を見ていたのですが、
すごく興味のある記事があったので、転載します。
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「クラシコイタリア」という言葉を聞いたことがありませんか?
1990年代後半から人気の出てきたスタイルで、
日本のファッション雑誌などでは「クラシコ」や「クラシコ系スタイル」といったキーワードで
広義に解釈されたクラシコイタリアが紹介されていました。
それは、バブル時代にはやったようなダボッとしたスーツではなく、
適度に体にフィットしたイタリアのクラシックなスーツスタイル全般を指していました。
しかし、日本のメディアで紹介されてきたクラシコイタリアというのは、実は本来の意味とは少し異なります。
◆「クラシコ」に異変
イタリアでファッション産業が盛んな理由の一つに、優れた技術を持つメーカーや工場が数多く存在することが挙げられます。しかし、世界中から商品を買い付けにくるバイヤーにとってメーカーが多すぎ、それぞれの優劣や特徴が分かりにくいという欠点がありました。
そこで、イタリアの職人技や伝統的技術を受け継いでいる優良なメーカーが数社集まり、組合をつくりました。それが「クラシコイタリア協会」です。
この協会には誰でも入れるわけではありません。しっかりとした伝統的技術を持ち合わせたメーカーしか加入できなかったのです。
やがてクラシコイタリア協会に属していることが一つのステータスとなりました。
イタリアに数多くあるメーカーの中でも特に優秀であるという一種の品質保証となり、
協会は大きな影響力を持つようになったのです。
世界最大のメンズファッションの展示会「ピッティ・イマジネ・ウォモ」でも、
広い敷地内のなかでひと際目立つメーン会場の2階にクラシコイタリア協会専用の
出展エリアがあります。
そこは、他の出展ブースと違って重厚な雰囲気に包まれています。
威厳と格式のあるエリアでした。しかし、それがここ数シーズンで大きく変わりつつあります。
クラシコイタリア協会を脱退し、自社の力でバイヤーにアピールするメーカーが増えてきたのです。
以前は協会に入りたくても入れないというメーカーが多かったのですが、
それと反対のことが起きているのです。
その背景には、カジュアル&スポーティーといった大きなトレンドがしばらく続き、
従来のクラシコイタリア協会のクラシックなイメージが流行とそぐわないと考えるメーカーが増えてきたことがあるように感じます。
協会に加盟していないメーカーが、新しいデザイナーやディレクターを招聘し、
イメージを一新して成功するケースも増えています。
最近日本でも人気のパンツブランド「PT01」などはその最たる例でしょう。
伝統的な技術やコダワリのモノ作りも大事ですが、トレンドをいかにうまく表現するか?
消費者にとって目にみえない部分のコダワリよりも、ヴィジュアル・プレゼンテーションやイメージ戦略をどうやっていくか?
が重要視されるようになったのです。
クラシコイタリア協会に属するメーカーであっても、時代の空気を読み、
それに対応していかなければ生き残れないような時代になったのです。
いかに優れた技術があっても、古典的クラシックスタイルのままでは難しいようです。
◆2011年は変革期
そんな中、協会の顔にして中心的存在の「キトン」が今年、新しい試みをしていました。
ピッティの翌週、ミラノで開催された「WHITE HOME」という合同展示会に出ていたのです。
これは画期的なできごとです。
というのも、この展示会にはどちらかというとカジュアルメーカーやこれからが期待される
新進デザイナーズブランドなどが出展しており、いわゆるクラシコ系のメーカーには
縁がなかったからです。
キトンのグループである「バルバ」や「サルトリオ」も今回、
カジュアルテイストの商品を企画し、出展していました。
キトンは伝統的技術をベースとしながら、
これまでとまったく別のマーケットにアピールすることを決断したのです。
存在価値と技術伝承、そして生き残りをかけたチャレンジといえます。
2011年はクラシックスタイルをルーツとするブランドの変革期となりそうです。
クラシコイタリアのブームが去って数年。
現代における新しいクラシックスタイルが生まれそうな気配です!
(リングヂャケット クリエイティブマネジャー 奥野剛史)
※クラシコ・イタリア協会は、イタリア・フィレンツェに本拠地を置く伝統的既製服縫製業界組合の名称。1986年にエルノ社のクラウディオ・マレンツィにより古典的伝統的な縫製技術と伝統を誇るブランドを持つ縫製会社が集まり、その地位を排他的に確立するために結成された。彼らの作り出す商品の傾向を一まとめにしてクラシコイタリアと呼び、同協会に属さないメーカーの商品をも含む傾向が日本のファッション業界に存在するが、厳密には別である。協会所属の会社としてはルイジ・ボレリ(シャツ)、イザイア(重衣料)、キートン(全般)、エルノ(コート)等が有名。 日本では1989年にユナイテッドアローズが打ち出した3つボタンスーツがクラシコの仕様であり、それ以降著名セレクトショップやバーニーズ等も販売を強化したことで、日本のメンズファッションの大きな潮流となった。 >>wikipedia
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